過去の経験から考える、動画撮影で陥りがちな5つのミス

動画撮影

これまで依頼にせよ、趣味にせよ、さまざまな形で動画撮影を行ってきました。

この業界では末席の立場ではありますが、それでも本を読んでいただけでは存在にすら気が付かないミスに直面し、学ばされることも少なからずありました。

そうした事柄について、これから動画撮影をはじめた方にとって少しでも参考となるようここにまとめます。

いわゆる「ベテラン」の方から見ればいずれも初歩的なミスではありますが、それでも事前にこうしたことを念頭に置いておけば、少しでもイージーミスの発生リスクを抑制できるかと思いますので……。

NDフィルターの不備

 

まず最初に思い出したのがこれです。このミスは風景撮影の際に何回かやってます。

一応説明させていただきますと、動画撮影の際はシャッター速度を自由に動かすことができません。

指定したフレームレートより上で、なおかつあまりかけ離れていない数値に設定しておかないと、自然な映像が撮れないとされています。

その場合、問題となるのが「白飛び」です。

たとえば30fpsの動画を撮ろうとすると、基本的にはシャッター速度1/30、無理をしたとしてもせいぜい50~60程度です。

この数値で日中野外撮影を行おうとすると、ほぼ確実に露出オーバーとなってしまいます。

そこで、そうした問題を解決するために、NDフィルターで物理的な減光を行う必要があるのですが、これが意外と忘れやすい。

いつもバッグに入れておけば問題ないのですが、事前に荷物の整理や移動を行っていると、やれ別のカバンに入れていただの、テーブルに置きっぱなしだのの失敗をしてしまうんですね。

そうなると、結局カメラ側の設定を強引に変更しなければならないので。かなりやりづらくなります。

拡張ISOを下げればダイナミックレンジが潰れるし、絞りすぎるとゴーストの発生や回折現象につながるしで、いろいろなリスクが起きやすい状況ができてしまいます。

そうした不安と心配で撮影がつまらなくなるぐらいなら、事前の荷物チェックぐらいは怠らずしっかりしておきましょう。

「録画した」と思ったらできてない

 

「んなバカな、あり得んやろ」と思われる方もいるかもしれませんが、意外とあります。

試しに「録画開始ミス カメラ」等のワードでググってみてください。関連する情報が少なからず出てきます。

なぜこのような間抜けなミスが起こり得るのか。

それは動画撮影というものが集中力を必要とする行為であるからに他なりません。

動画を撮る際は、目の前のモニターに意識を集中させています。

途中で移動する必要がある場合はなおさらです。

そのため、録画ボタンの押し方が甘かったり、「押したはず」という考えになっていると、そのまま気づかず「空撮り」をしてしまいます。長時間の録画でこれをやらかしてしまうと、大変なことになります。

「画面内の『REC』やらランプが点いてないの見てたらわかるやろ」と思われるかもしれませんが、いや、これが本当に気がつかないんですよ。

あまりにもついている状態の表示が小さすぎて、「ついてない=録画されてない」という思考に至らないんです、すごいですよねいろいろ。

その点、Lumix DC-S1のアップデートで赤枠表示が追加されたのには助けられました。

これならば周囲に赤い枠が大きめに表示されるので、いくらなんでも気が付きやすいです。

Lumix DC-S1やS5、S1Hであれば録画開始時、このように赤枠が表示される。
(S1は要アップデート)

周辺の映り込み

 

いくら鈍い自分でも、さすがにど真ん中に何かしら邪魔なものが映ってたらわかります、撮影止めます。

見落としやすいのは、端っこの方の映り込みです。

たとえば被写体の遙か後ろ、微妙にぼけている部分で誰かがチラッと入ってきてその後「あっやばっ!」みたいに引っ込んだとか、そういったものです。

これがちょっとトリミングすればすぐに消せるような程度であればいいのですが、それが難しい時もあります。

被写体の都合上、あまりトリミングできないような場合です。

特に厄介だったのが、撮影場所が狭く、やむを得ず被写体の背後に扉があるような構図で行うこととなった撮影時のミスです。

撮影中扉が開き、数秒間スタッフさんと思われる方の姿が映ってしまいました。

これ自体はすぐリテイクすることで対策できたのですが、撮り直しの利かないような状況だと危なかったですね。

こうしたミスを防ぐためには、事前の準備が非常に重要です。

撮影をしている場所には立ち入らせないようにしましょう。

三脚使用時の手ぶれ補正オフ忘れ

 

風景を撮影する時、あるいは時間がなく急いでいる時にはかなりしでかしやすいミスです。

カメラを三脚にセットした際にカメラやレンズの手ぶれ補正がオンのままだと、ぶれっぽい動作が発生することがあります。

これはどうも手ぶれ補正機能の仕様が原因のようで、カメラが固定されて動かない状態となっていた場合、誤った補正を行ってしまうことがあるようです。

私も最初は「そんなもん大丈夫だろ」みたいな感覚でちょくちょくオンのままにしていたのですが、撮影した映像を確認してみるとたまに謎の移動をしていたということ何度かがありました。

完全固定でないとダメな映像の場合、こういったミスは致命傷になり得ます。

三脚を使用する際はくれぐれも見落としのないようにしましょう。

log撮影時のノイズ軽視

 

「v-log」や「s-log」等のlog撮影にはさまざまなメリットがあります。

明暗激しい風景を柔らかく撮りたい時、自分の好みの画を作り出したい時などいろいろな用途で使えます。

しかし、log撮影を行う際は低感度時のノイズに注意しておかなければなりません。

log撮影で暗いところを撮影すると、無視できないほどのざわつきが発生してしまいます。

元データを見るだけでは分かりづらいのですが、いざLutを当ててみるとまるでボウフラが沸くように出てくることがあります。

「湿り気のあるダークな感じでlog撮影をしたい!」と思った場合に動画がこのようになってしまうともう台無しです。

α7Ⅲ以上の諧調性を持ち、比較的暗所に強いとされるLumix DC-S1ですらこの問題を完全に解消することはできませんでした。

(それでもかなり起こりづらくなりますが)

他のビデオグラファーの方も言っておられますが、こうしたトラブルで後々泣きを見ないようにするためには、あらかじめ露出を高めに設定することが対策としては有効です。

そもそもlog撮影においては広いダイナミックレンジを確保できるので、多少ハイキー気味に設定しても白飛びがしづらいというメリットがあります。それを活用しましょう。

まとめ

 

以上、自分が動画撮影で過去にやらかしたミスの内、5つを取り上げました。

ご共感等いただければうれしいです。「俺はこんなミスなんてしねえよバカ」ということであればなおうれしいです。

いずれにせよ、こうしたミスを減らすために大事なのは、1にも2にも事前の準備

備えあれば憂いなしと言いますし、前日の荷物確認はしっかりやっておきたいものですね。自分も気を付けます。

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