今、採用動画をいかに活用するかが企業の間で話題となっています。
YouTube等の配信サイトで動画を視聴することが当たり前となった昨今、新人採用において動画をいかに活用するのかも、非常に重要だといえるでしょう。
この記事では、採用動画を活用することのメリットや過去の成功事例、そして制作にあたってのコツについて解説していきます。
採用動画を活用することのメリットとは
これまで採用のための取り組みといえば、企業パンフレットの作成配布や特設ページ制作、企業説明会などがありました。
採用動画はそれら既存の方法にはないメリットを多数持っており、十分にチャレンジする価値があります。
求職者(転職者)が気軽にアクセスできる
パンフレットや特設ページは、「読む」という能動的な行動が求められます。
求職者は文章を自分から読み進めなければなりません。
これまではそういった手順もそれほど問題にはならなかったかもしれませんが、「文章離れ」「読書離れ」が進んでいる昨今ではどうでしょうか。
若年層は我々が思う以上に、文章を読むという行動を億劫に感じているかもしれません。
ましてや、就職活動中の学生であれば、何冊もパンフレットやHPの文章を読むことを強いられています。
自社も同じような方法でアプローチをかけていれば、他社とともに埋もれてしまうおそれもあるでしょう。
しかし、動画であれば、再生ボタンを押すだけで勝手に説明を行ってくれます。
ディスプレイやスマホを見ているだけで、企業の魅力や強みについてしっかりと把握することが可能です。採用動画を活用すれば、求職者はより気軽に自社の情報を入手できるようになります。
企業イメージをより的確に伝えられる
「企業イメージが正確に伝わるかどうか」はとても大事な要素です。
いくらパンフレットやサイトデザインに力を入れたとしても、伝えられる情報には限界があります。
動画であれば、映像やアニメーションで情報を発信することができるので、短時間で従来よりも詳細かつ豊富な事柄を伝えることができます。
それによって、求職者に対して想定通りの企業イメージを持たせやすくなるでしょう。
視覚と聴覚での働きかけでより印象に残りやすい
動画は視覚だけでなく、聴覚での情報も発信できます。
ナレーションに加え、効果音やBGMを適度に使用することで、視聴者を飽きさせず注目させることが可能です。
視覚、そして聴覚からの働きかけを十分に考慮した動画であれば、それを視聴した求職者に対して強烈な印象を残せます。
「あの企業は他とは違う気がする」といった、イメージ面での差別化で他社に一歩先んじることができるでしょう。
SNSを利用しての拡散がしやすい
動画というのは、とても応用の利く媒体です。
YouTubeやVimeo等の配信サイトにアップさえすれば、URLを共有するだけで他者へ視聴を促すことができます。
動画はTwitterやInstagram、Facebookといった各種SNSとも相性良好。
SNS内でも動画を発信することができるというのは大きいです。
求職者がわざわざ公式HPにアクセスすることをただ待つよりも、企業公式アカウントに動画を掲載すれば、より効率的かつ効果的に多人数へ働きかけを行えます。
コストダウンが見込める
動画制作は予算がかかる、というイメージがあるかもしれません。
しかし、よくよく考えてみればむしろ逆です。
パンフレットのように冊子を大量に刷る必要もなく、企業説明会のようにイベントスペースの確保も必要ありません。
加えて、ごく一時期しか利用できない既存の方法とは違い、動画であれば長期的に活用できます。
配信サイトにアップロードさえしていれば、求職者は自分からアクセスしてくれることでしょう。
うまくいけば「バズ」も狙える
採用動画が他の手段と大きく異なるもうひとつの特徴は、「バズる」可能性の有無です。
ネット上にアップした採用動画のクオリティが高く、求職者のみならず万人の興味を惹くようなものであった場合、SNSで情報が拡散されネットニュース等にも取り上げられることがあります。
こうした現象は俗に「バズる」と言われており、うまくいけば企業の知名度や好感度を飛躍的に向上させるチャンスともなります。
狙ってバズることは難しいですが、その効果は非常に大きいので、実現の可能性も視野に入れて制作するのもやり方のひとつです。
成功した採用動画の事例を紹介
次に、他企業の採用動画を例に挙げて解説を行っていきます。
いずれもクオリティが高く、ネット上で話題になるほどの成功を収めたものであり、自社採用動画の制作にあたって十分参考例となるでしょう。
博報堂DYメディアパートナーズ
広告業界大手である博報堂DYメディアパートナーズの採用動画は、あえて滑り出しを暗い雰囲気で演出しています。
コントラストの激しい映像に「用意された回答」「会社はなかなか(本音を)話してくれない」といった求職者が不安視している事柄を画面中心に文字で打ち出すことによって、見ている側の関心を反らさせないようにしている点が巧みです。
さらにそこから後半、一気に雰囲気を柔らかく明るく転調させ、笑顔で話す社員たちの映像を用いることによって、「博報堂は就活生に本音で向き合う」といったポジティブなイメージの構築に成功しています。
貝印株式会社
仕事中の風景をうまく活かして成功しているのが、貝印株式会社の新卒向け採用動画です。
この会社が扱っているカミソリや台所用品は一見地味であり、人によっては面白みがないと思われるかもしれません。
しかし、採用動画では若い社員による商品の設計や加工、企画会議等の風景をスタイリッシュに見せることによって、「自社の仕事は十分にやりがいがある」というメッセージをうまく伝えています。
徐々に盛り上がっていくことでやる気を沸き立たせるようなBGMを採用しているのもうまいポイントです。
デルタ工業株式会社
ある種の飛び道具ともいえるユニークな構成で注目を浴びたのが、デルタ工業株式会社の採用動画です。
営業と現場、それぞれが抱えている不満をラップバトル形式でひたすら言い合うという形になっています。
激しい「ディスり」の応酬一見激しい対立でありながら、裏を返せばお互いの不満や希望をしっかり言い合える社風であるというアピールになっていることが、この採用動画のよさです。
採用動画らしからぬテンポのよさも見事で、ついつい最後まで見てしまいます。
成功する採用動画制作のためのコツ
とはいえ、採用動画を制作さえすれば、必ず成功するというわけではありません。
作ったはいいものの、うまく成果をあげられないといった結果も十分にあり得ます。
ここでは、成功する採用動画を制作するためのコツについて解説していきます。
「誰に伝えたいか」を決める
採用動画が失敗しがちな原因のひとつに、「誰に伝えたいか」がはっきりしていないということがあります。
新卒者向けなのか、それとも転職者向けなのか、この違いだけでも作るべき動画の構成は大きく異なります。
それをあいまいにしたまま動画制作を進めてしまうと、結果的に誰に向けたのかわからない、いまいちパンチのないものができあがってしまうのです。
よって、誰のための採用動画なのかを事前に決めておく必要があります。
たとえば、新卒向けであれば仕事のやりがいや研修制度の充実さを、転職者向けであればキャリアアップの可能性や職場環境のよさを伝えることが重要です。
また、採用したい人の年齢や性格等パーソナルな面も詳細に想定しておくと、よりアプローチしやすい内容の動画を制作しやすくなります。
自社の魅力をはっきりさせる
求職者のほとんどは、企業に対して何かしらの魅力を感じて求人に応募するもの。
待遇がよいのか社風が快適なのか、はたまた仕事のやりがいなのかは人それぞれですが、魅力のはっきりしない企業に人が集まりづらいことはたしかでしょう。
採用動画も同様で、中身のない魅力的なことばばかりを並べたような内容では、視聴者の心をつかむことはできません。
構成を考える前に、自社の魅力はいったいどういったものなのかを事前にしっかり洗い出し、映像としてアピールできるほどにまで形にすることがとても大事です。
なお、魅力をアピールするにあたっては、実際に現場で働いている社員のインタビュー形式で伝える、数字等の根拠を出す等の手法を用いると、より信頼を獲得することができます。
盛り込みすぎは逆効果
伝えたいことが多すぎるのはまだしも、それをすべて盛り込もうとするのは失敗の原因となりがちです。
「先輩社員のインタビューを入れたい」「かっこいいアニメーションも使おう」「去年の業績も伝えたい!」「ついでに自社の商品も宣伝しよう!」といった風にあれもこれもすべて入れようとすると、動画の再生時間はどんどん長くなってしまいます。
基本的に、再生時間が長ければ長いほど、最後まで見てもらえる可能性は低くなっていきます。
長時間で成功している採用動画も中にはありますが、それらは構成や演出がかなり巧みであり、決して手軽に真似できるものでないことを知っておきましょう。
採用動画の長さは、およそ3~5分程度が適切です。
テンポをアップさせて2分以内に収めてもかまいません。
その範囲に収まるよう、伝えたい内容をしっかり取捨選択するようにしましょう。
ふざけすぎは逆効果
前の項目で取り上げたデルタ工業のように、ユーモアやインパクトを重視して成功した採用動画も多数存在します。
だからといって、ただふざければいいのかというと、決してそうではありません。
内容が下品であったりアンモラルな採用動画は、好評どころか大不評を受けるおそれがあります。
バズるどころか炎上が発生し、企業イメージを大きく損なうといった笑えない結果にすらなりかねません。
当然のことのように思えるかもしれませんが、これが理解できておらず炎上事件を起こしているような企業も少なからずあります。
ユーモアセンスをふんだんに活かした採用動画はむしろ有効であり、積極的にアイデアを練っていくべきものではありますが、何ごともやりすぎはいけません。
まとめ
採用動画は少ない予算で高い効果が見込め、利便性も高いなどたくさんのメリットがあります。
自社に動画制作ノウハウがなく、クオリティの高い採用動画を作れそうにない場合は専門業者に外注するのもよいでしょう。
外注費用はかかりますが、その分プロフェッショナルの手がけたハイクオリティーな採用動画を制作することができます。