YouTubeやInstagram、TwitterにTiktok等各種SNSの登場によって、動画を活用したマーケティングはまさに全盛期といえる勢いを見せています。
日本においても、多くの人に名を知られている大企業がさまざまなサイトで動画広告を配信するようになりました。
そしてまた、日本各地の中小企業も動画を活用したマーケティングを展開し、これまでにない大成果を生んでいます。
実は、中小企業こそ動画を活用するメリットが大きいのです。
この記事では、中小企業が動画を活用すべき理由や各種事例、展開時の注意点について具体的に解説しています。
中小企業が動画を活用して得られるメリット
中小企業が動画コンテンツを活かしてマーケティングを行う場合、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
ひとつひとつ詳細に説明を行っていきます。
膨大な広告費をかけなくても参入できる
「映像による宣伝」といえば、今まではテレビCMが主流でした。
しかし、全国ネットでテレビCMを放映しようとする場合、安くて50~60万程度、高くて数百万円程度の予算が必要となります。
それに加えて制作費も考慮しなければなりません。
地方ローカル局での放映であれば予算をもう少し安くできますが、その分効果は落ちてしまいがち。
しかし、たとえばYouTube上に制作した動画を配信しようとしても、そのための放映費用が発生することはありません。
もちろん、動画の制作費や「Google広告」でさらなる集客率向上を狙う場合のコストも考慮する必要がありますが、それでもテレビCMと比べれば、かなり安価な予算で宣伝を行えます。
そのため、広報活動に多額の予算をかけられない中小企業であっても、うまくやれば大企業に勝るとも劣らないマーケティングを展開することが可能です。
莫大な数の人間に拡散できる
YouTube他各種SNSで動画を視聴しない人間はもはや少数派です。
老若男女がさまざまなジャンルの動画をPCやスマホ、タブレットで楽しんでいます。
Google社の調査によれば、2020年における日本国内でのYouTubeユーザー(18~64歳)の数はおよそ6,500万人以上。そのうち1,500万人がテレビ画面でYouTubeにアクセスしているという結果が出ました。
お茶の間の主役すら、テレビ番組からYouTube動画に世代交代が進みつつあるのです。
もはや、YouTubeは「国民的メディア」と差し支えないといってもよいでしょう。
それに加えてコストもテレビCMより安価となれば、これを活用しない手はありません。
YouTubeという動画サイトを経由することによって、従来よりもはるかに多人数の視聴者にアプローチを行える時代です。
文章や絵のみよりもはるかに豊富な情報を発信できる
広告手段のひとつとして、駅広告やパンフレットの紙媒体を利用している企業も少なからず見かけます。
それらの手段は一定の効果が期待できるものの、伝達できる情報量では動画に及びません。
動画であれば、文字や実写、アニメーションだけでなく、BGMや効果音を交えて相手に情報を伝えられます。
そのため、短時間であっても豊富な情報を視聴者にわかりやすく理解してもらえます。
しかも、パンフレットのようにページをめくる手間もいらないので、受け身のまま流れに任せて知りたい情報を受け取ることができる点も強みです。
紙媒体やチラシでは効果が見られなかったようなことも、動画を活用すればこれ以上ないぐらいうまく知ってもらえる可能性があります。
多様なマーケティングができる
動画というコンテンツはとても潰しが利きます。
動画といえば、YouTube上にアップロードしてユーザーに視てもらうといった手法がポピュラーではありますが、それ以外にもさまざまな形で活用可能です。
たとえば、TwitterやInstagram等の各種SNSでも動画発信できます。
動画データをタブレットに保存し、訪問した顧客の前で再生するといった使い方も考えられます。
アップロードした動画のURLを見込み客へ送るメールに掲載しておけば、自社サービスの魅力を知ってもらいやすくなるでしょう。
URLをQRコード化し、名刺や広告に載せておくという活用法も有効です。
いったん動画を制作しさえすればさまざまな形で利用できるので、従来よりも臨機応変な宣伝戦略をとれるようになります。
補助金を利用して安く制作することもできる
「広報用の動画を制作したいけれど、予算が心配……」といったような不安があっても大丈夫。「小規模事業者持続化補助金」や「ものづくり補助金」を利用すれば、製作費の大半を補助金で賄うことが可能です。
これらの制度は動画を活用した広報活動も対象となっており、場合によっては大きな助けとなってくれます。自社が補助金制度の対象かどうか、行政書士や社労士に相談してみるのもよいでしょう。
中小企業が活用できる動画の内容と種類
中小企業が動画を活用しようと考えた場合、たとえばどのようなことを宣伝できるでしょうか。
ここでは、主な動画の活用法について解説していきます。
事業紹介動画
自社が手がけている事業や提供しているサービスについて紹介する動画です。
自分たちの会社がどのような強みを持っており、どういった価値を提供できるのかを視聴者に知らせ、企業価値を向上させることが目的となります。
動画であれば、自社の魅力や強みを実写映像やアニメーションによってわかりやすく伝えられます。
採用動画
新卒者や転職者をターゲットに想定し、彼らに応募や説明会参加を働きかけるための動画です。
顧客でなく、被雇用者の立場から見た自社の魅力、強みをうまく伝えられるかどうかが成功の鍵となります。
採用動画の主な内容としては、職場の風景や現役スタッフのインタビュー等。実際の仕事場や現場の声を映像で見せることによって、視聴者も「この会社で働く」ということを具体的にイメージしやすくなります。
また、待遇の良さや働きやすさを積極的にアピールすることも重要です。
チャンネル開設
YouTubeに自社の公式チャンネルを開設し、定期的に動画コンテンツを発信していきます。
エンタメ性やHowTo性の高い、見ていて「楽しい」あるいは「ためになる」と視聴者が思える動画を公開し続けることによって、自社の知名度向上やイメージアップにつなげられます。
これを実践する場合、重要なのは定期的な発信とファンの獲得です。
それを実現できるだけの「ネタ」に加え、撮影時間や人員、予算を確保する必要があります。
ショート動画
15秒前後の短い動画で、「YouTubeショート」やTiktok等で多数発信されています。
若年層を中心に人気を獲得しており、さらなる広がりが期待できるコンテンツです。
内容の特徴としては、「非常に短時間で楽しめる」こと。15秒で「面白い!」「すごい!」と視聴者に思わせなければなりません。
中小企業による動画活用の成功事例
すでに、多くの中小企業が動画活用によって大きな成功を収めています。
実際にいくつかの成功事例を紹介していきましょう。
鞄工房山本
奈良県橿原市の革製品メーカーである鞄工房山本。
その紹介映像は、職人の手によってランドセルができあがるまでの過程を映したものとなっています。
ナレーションがいっさい用いられていない点も特徴です。
手作業によって制作される風景を見せることによって、いかに自社のランドセルが特別であり、価格に見合った価値があるかを力強く伝えています。
佐藤葬祭
葬儀といえばどうしても暗いイメージがあります。
しかし、有限会社佐藤葬祭はそれを逆手にとり大きな成果を挙げました。
この企業が運営している「葬儀葬式ch」では葬儀に関するさまざまな疑問や雑学をわかりやすく解説しています。
2015年に開設されたこのチャンネルは多くの視聴者から支持され、内容によっては再生回数138万回(2021年11月時点)を記録しています。
葬儀という、誰もが避けようとしながら直面せざるを得ないイベントを取り扱っていることも成功要因でしょう。
アンシンサービス24
住宅設備リフォーム業者であるアンシンサービス24は、名古屋市を中心に事業を展開しています。
この業者が運営しているあんしんちゃんねるでは、トイレや水道の施工に関するさまざまな知識を動画で解説
。設備施工に関して悩んでいる視聴者を手助けすると同時に、自社の知名度向上に成功しました。
中小企業が動画マーケティングを行う際の注意点
動画を活用したマーケティングは、大きな成功の可能性を秘めています。
しかし、成功のためにはいくつかポイントを抑えたうえで利用しなければなりません。
「何を伝えたいか」をまずはっきりさせる
成果が上がらない動画に共通しているのが、「何が言いたいのかわからない」ということ。
企業のよさを伝えたいのか、それとも商品のすごさを紹介したいのか、あるいは何か面白い話がしたいのか、内容が分散していてまとまりのない動画は途中でブラウザバックされる可能性が非常に高いです。
視聴者にしっかり動画を視てもらいたいのであれば、制作前に「何を伝えたいのか」をテーマとして明確にしておきましょう。
事前に決めたテーマに基づいて構成を作っていけば、意味不明な内容の動画にはなり得ません。
逆に言うと、それを怠っていれば失敗の可能性はおのずと高まります。
「見やすさ」も考慮すべき
時折、矢鱈滅多に派手なエフェクトやアニメーションが使われた動画を見かけます。
作った側としては見応えのあるものを作ったつもりかもしれませんが、こうした動画はほとんどの場合、非常に見づらく内容も伝わりづらいです。
動画は「見やすさ」が非常に重要です。
エフェクトは動画を見やすく、なおかつわかりやすくするためのもの。
エフェクトを多用した結果、見るに耐えないものとなっては意味がありません。
「面白ければよい」わけではない
動画の内容が著しくモラルに反するものであった場合、いわゆる「炎上」が発生することもあります。
たとえば、動画内で食べ物を粗末にする、差別的あるいは暴力的な言動をとる、動物の虐待や器物の破損などを行えば、非難を受けるであろうことは想像に難くありません。
一旦炎上が発生すれば、鎮静化に大きな労力と時間を費やすこととなります。
加えて、企業イメージはほぼ間違いなく低下するでしょう。
そのような大失敗を起こさないよう、動画の内容が非倫理的でないか入念に確認すべきです。
中小企業が外部に動画制作を任せるメリット
自社内での動画制作が困難である場合、思い切って専門の業者へ外注してしまうのも方法のひとつです。
相応の費用は発生しますが、それでもさまざまなメリットがあります。
構成、撮影、編集の手間を一気に省ける
動画制作を行うとなれば、そのために人員を割かなければなりません。
構成から撮影、編集までの長時間を費やすため、他の業務に支障をきたす可能性もあります。
社員に動画制作の経験がない場合、その負担も大きなものとなりうるでしょう。
動画制作を外注に委託すれば、社員に余計な負担を強いることもありません。
構成から編集まで専門業者がすべて行ってくれるので、安心して本業に集中できます。
撮影ミス発生のリスクを解消
動画制作未経験者が動画を作ろうとした場合、ミス発生の可能性はかなり大きなものとなります。
特にミスが発生しやすいのは撮影時。
「ピントが合っていない」「ブレが激しい」「照明が暗すぎるor明るすぎる」等々、さまざまな失敗が考えられます。
失敗に気づくのは撮影終了後というのもよくあること。
長時間の撮影でミスが発生した場合、再撮影もしづらくなります。
外部の専門業者に任せてしまえば、撮影失敗のリスクに悩まされることもなくなるでしょう。
優れた映像構成を組み立ててくれる
映像制作における最大の壁が「構成」です。
視聴者の興味を惹き、内容を十分に理解してもらえるよう、内容を組み立てなければなりません。
映像制作ノウハウが不十分な場合、構成の段階で「どのようにすればよいかわからない」といった具合に行き詰まりやすく、そのまま企画自体立ち消えになることもしばしばです。
不慣れなことにムダな時間を費やすぐらいなら、プロフェッショナルに任せてしまった方がはるかに効率的。
こちらのリクエストを十分に把握したうえで、納得のいくものを作り上げてくれるでしょう。
まとめ
動画を活用する企業は年々増加しています。
手ごろな予算で大きな広告成果を挙げる手段として、動画制作は十分検討の価値ありでしょう。