映画レビュー「ダークマン」~隠れた傑作ダークヒーロームービー

映画レビュー

マフィアによって顔と身体を焼かれた男が包帯まみれの復讐鬼と化し、アドレナリンの大量分泌による超パワーと変装能力で戦うダークヒーローもの。

監督はサム・ライミ。
主演はリーアム・ニーソン、フランシス・マクドーマンド。

サム・ライミが原案のオリジナルヒーロー映画にして、その後のキャリアにも大きな影響を与えた作品。

特筆すべきはなんといってリーアム・ニーソン扮する主人公ペイトン(ダークマン)のキャラ設定。マフィアが起こした爆発によって全身が焼けただれた彼はふた目と見られぬ醜い姿となっただけではなく、アドレナリンが異常分泌するようになった。

それにより、人間の限界を超える運動能力を引き出せるようになったが、一方で情緒不安定となり、怒りのコントロールができなくなってしまったという奇抜な特徴と枷が盛り込まれている。

それによってペイトンは頻繁に心理的葛藤や苦悩を抱えるようになる。しかもその苦悩の仕方が怒りに任せた大暴れや暴言。本人は真剣なはずなのだが、傍から見れば滑稽極まりない風景。共感と笑いを同時にもたらしてくれるのが見どころ。若きリーアム・ニーソンの熱演が光っている。

しかし、それでも「オペラ座の怪人」を下敷きにしたと思われる非恋と復讐の物語は観客を引き付けるものがあり、否が応でも応援したくなってくるのがすごい。

そして、映画の面白さをグンと高めてくれているのが、サム・ライミお得意のコミック的演出の数々。こういった演出というのは一歩間違えば恐ろしく白けるものになりかねないのだが、この監督は「どこまでオーバーにすれば最大現の面白さを引き出せるかどうか」の見極めが非常に上手い。この絶妙なバランス加減が、同年代の映画である「バットマン」に引けを取らないユニークな楽しさを描くことに成功している。とくに終盤、高所でのスラップスティックな大立ち回りはバスター・キートンやハロルド・ロイドの如き活動写真っぷり。ダニー・エルフマンの音楽もぴったり合っている。

個人的にはサム・ライミ作品の中でもベスト5に入れたい一本。あの俳優もカメオ出演してます。

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マフィアによって顔と身体を焼かれた男が包帯まみれの復讐鬼と化し、アドレナリンの大量分泌による超パワーと変装能力で戦うダークヒーローもの。 監督はサム・ライミ。 主演はリーアム・ニーソン、フランシス・マクドーマンド。 サム・ライミが原案のオリジナルヒーロー映画にして、その後のキャリアにも大きな影響を与えた作品。 ...
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